2015年

1月

20日

【胎児の相続権】妊娠中の奥さんを残して夫が亡くなった場合の相続人の範囲について

胎児は権利の主体になることはできるのか

少し難しいタイトルとなってしまいましたので、補足説明から致します。

まず「権利義務の主体」というのは、ざっくりと説明しますと、「当事者」のようなものとお考えください。例えば、まだ生まれていないお腹の子(胎児)に対して、お母さんが法定代理人(※20歳に達するまでは親権として親が代理権を有します)として、お父さんとの間で贈与契約(何かをタダで譲ること)を締結できるのか、という問題です。


仮に、まだ生まれていない「胎児」であっても(法定代理人である母親を介してなんらかの法律行為を行い)「権利義務の主体」になることができるのであれば、胎児とお父さんとの間で贈与契約も可能(胎児が所有権という権利の主体になることができる)ということになります。


この点につき、民法では「私権の享有は出生により始まる」としています(第3条第1項)。つまり、胎児は権利義務の主体になることはできないというのが原則になります。胎児の時においては、「所有権」などの権利を持つことができないわけですね。

相続においては胎児の権利能力について例外がある!

ところが、相続においては、胎児の権利能力について例外規定があり、「胎児は、相続に関しては、既に生まれたものとみなす。」とされています(民法第886条)。


つまり、夫が妊娠中の妻を残して亡くした場合において、相続人は妻とお腹の子の2人になります。相続人の第二順位であるご両親や祖父母(※直系尊属)が相続人ではないので注意が必要です。なお、胎児が必ずしも生きて生まれてくるとは限りません。非常に悲しいことではありますが、死産の可能性もゼロではありません。この点につき、過去の裁判所の判断では、『生きて生まれて来ること』を条件にとしています(※停止条件説)。

相続実務における胎児の取り扱いについて

さて、胎児がいる場合は、既に生まれているものとみなされるため、「妻+子」が相続人になることがわかりました。仮に胎児の状態(まだおなかの中にいる状態)であっても、理論上は遺産分割協議を行い、相続手続きを進めることが可能です。しかしながら、万が一、死産だった場合は、胎児はいなかったこととなり、相続人の範囲が変わってしまうため、相続実務上は、胎児が無事に出生するまで、遺産分割協議や手続きを進めずに待つことがほとんどのようです。


※これまで300件以上の相続相談を受けてきましたが、胎児の事例は一度もありませんでした。胎児の事例を取り扱った先生がいらっしゃいましたら、お教え頂けると助かります。


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