「遺言執行者」の指定がない場合

このページでは、前述の「遺言執行者」について、その指定がない場合について説明します。

遺言執行者は後から指定ができる!

前述の記事(「遺言執行者について」)のとおり、「遺言執行者」の指定は任意規定であり、この記載が遺言書になくても、又は指定されていた遺言執行者が就職を辞退して誰もいなくなってしまったとしても、遺言内容の有効・無効に影響は与えません。また、遺言執行者の指定がなかったとしても、遺言の記載内容を実現できないわけではなく、遺言の記載で財産の承継者となっている方が単独で預貯金等の解約ができるケースもあります。ところが、遺言の記載内容によっては、「他の相続人の署名捺印+印鑑証明書がないと、相続手続きができない」というケースも生じます。そのような場合には、相続を開始した地を管轄する(被相続人の最後の住所地にある最寄りの)家庭裁判所に対し「遺言執行者選任の審判申立て」を行うことで、後から「遺言執行者」を登場させることができます。なお、この手続きについては、申立て時期について期限がありませんが、迅速な遺言内容の実現を考えれば、早急な申立てを行うとスムーズになるでしょう。

 

遺言執行者の選任審判申立ては誰がする?

「遺言執行者の選任審判申立て」については、「利害関係人」の請求によって、することができます(民法第1010条)。つまり、亡くなられた方の「相続人」ではなくても、その遺言で財産を遺贈されることになっている「受遺者」や「相続債権者」からでも申立てが可能です。この申立てにあたって、相続人らの同意を得る必要もありませんが、「利害関係を証する資料」の提出は必要となります。なお、申立て費用は収入印紙800円に加え、予納郵便切手だけで済みますので、1500円ぐらいで申立てが可能です。

 

 ⇒ 家庭裁判所HPはこちら(外部リンク)

 

「相続させる」か「遺贈する」かで「遺言執行者」の要否が変わる!

ここからは少し専門的な内容になりますが、踏み込んでみましょう。相続人が長男A・長女B・次男Cの3名がいた場合に、被相続人である父が残した遺言書において、下記(ア)の記載があった場合の手続きと、(イ)の記載があった場合では、遺言執行者の要否が異なります。

 

(ア)「自宅の土地を、長男Aに遺贈する。」

(イ)「自宅の土地を、長男Aに相続させる。」

 

(ア)の場合、自宅不動産の名義変更手続を行うには、登記権利者である受遺者と登記義務者である相続人又は遺言執行者との共同申請によることになります(※登記実務上は包括遺贈の場合も同様)。つまり、他の相続人である長女B及び次男Cが登記申請に協力してくれない場合は、遺言執行者の選任審判の申立てを行う必要性が生じます。

 

一方、(イ)の場合は、何らの行為を要せずして、当該遺産は被相続人の死亡の時に直ちに相続により承継されるとされている(最判平3・4・19民集45・4・477)ため、当該相続人が単独で相続登記を申請することができるため、遺言執行者がいない場合に、遺言執行者を選任する必要はあまりありません。

 

このように、遺言の記載内容によって、やや取り扱いが異なりますので、迷ったときは専門家にご相談ください。相談するべき専門家に迷った際には、相続手続きに詳しい名古屋・大阪の行政書士法人エベレストへお気軽にご相談ください。

 

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