『相続税法』改正まとめ(平成27年1月1日~)

平成25年度税制改正による改正法がいよいよ適用開始!

平成25年3月30日に公布された「所得税法等の一部を改正する法律(平成25年法律第5号)」にて決定されていた相続税法に関する改正につき、平成27年1月1日以後に相続が開始(死亡)した相続について、いよいよ改正法が適用されることとなりました。

なお、よくご質問を頂きますが、たとえ相続税の申告期限や申告した日が平成27年1月1日以降であったとしても、平成27年12月31日以前の相続開始であれば、旧法(改正前)が適用となりますので、ご注意(ご安心?)ください。


相続税及び贈与税の税制改正の「あらまし」は国税庁HPで入手可能!

税法が改正されたと言っても、相続税法そのものを読み込んで理解しようとする必要はまったくございません。概要をつかむためには、国税庁から「あらまし」なるものが必ず公開されます。そのため、税制改正の全体像を把握したい場合は、国税庁HPをご覧になると良いでしょう。参考までに、『相続税及び贈与税の税制改正のあらまし(平成27年1月1日施行)』のPDFファイルを下記に添付いたします(国税庁HPから転載)。

相続税及び贈与税の税制改正のあらまし
全部で8ページありますが、図表が多く、わかりやすくまとめらています。
相続税及び贈与税の税制改正のあらまし(国税庁HPより引用).pdf
PDFファイル 6.3 MB

相続税改正のポイントは「4つ」のみ

贈与税に関しては、ここでは省略させて頂き、相続税に関する改正点のみに注目してご紹介させて頂きます。まず、今回の改正のポイントは「4つ」あります。新聞やテレビ等では、「基礎控除が引き下げられる」という点のみがピックアップされますが、納税者(相続税を納める相続人)にとってプラスとなる改正点もありますので、知っておくとよいでしょう。改正点4つは次の通りです。

改正点(1)遺産に係る基礎控除の引き下げ

「相続税」には、「基礎控除(きそこうじょ)」というものがあり、ある一定の額を超えない限りは、相続税の申告の必要はございません。この「一定の額」について改正がなされ、これまでの「5000万円+(1000万円×法定相続人の数)」から、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」に大幅に引き下げられることとなりました。具体例で当てはめますと、妻1人と子ども2人、合計3人を残してお父さんが亡くなったケースでは、平成26年12月31日以前では、「5000万円+(1000万円×3名)」=8000万円が遺産に係る基礎控除額でしたが、平成27年1月1日以降に開始した相続では、「3000万円+(600万円×3名)」=4800万円となり、3200万円もの減額がされたこととなります。なかなかのインパクトですね。我々「相続の専門家」の中でも、ビックニュースとなっています。


改正点(2)相続税の最高税率の引き上げ

次に二つ目のポイントです。相続税は、遺産総額が大きくなればなるほど、相続税額も大きくなるという「累進課税」方式が採用されています。所得税などと一緒で「富の再分配」という税法の考え方に基づくものになります。今回の改正でどのように変わったかと言いますと、各法定相続人の取得金額が2億超~3億円以下だった場合に5%増加(40%⇒45%)し、6億円超の場合にも5%増加(50%⇒55%)となりました。

なお、『各法定相続人の取得金額』とは、課税遺産総額(課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を控除した金額)を法定相続人の数に参入された相続人が法定相続分に応じて取得したものとした場合の各人の取得金額をいいます。なかなかイメージしづらいと思われますが、子が二人(相続人)いるケースでは、4億円以上の遺産がなければ、今回の税率アップの影響はないとお考え頂ければ大丈夫です。


改正点(3)未成年者控除等の控除額の引き上げ

さて、上記2つのポイントは、国民にとっては「ムチ」とも言える厳しい税制改正でしたが、ここからは「アメ」になります。3つ目の改正ポイントは、「税額控除の引き上げ」です。次の通りです。未成年者や障害者が相続人にいない場合には、特に関係がありません。一部の方だけという意味では、アメはアメでも、小さなアメですね。とはいえ、「税額控除」は納税額にダイレクトに恩恵を受けることができるので、インパクトは大きいです。

未成年者控除 20歳までの1年につき(改正前)6万円 ⇒ (改正後)10万円

障害者控除  85歳までの1年につき(改正前)6万円 ⇒ (改正後)10万円

                 ※特別障害者12万円 ⇒      20万円


改正点(4)小規模宅地等の特例の適用対象となる宅地等の面積拡大

さて、最後の改正ポイントですが、これは実はとても大きな「アメ」になります。まず、「小規模宅地等の特例」とは、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族(以下、単に被相続人等)の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等がある場合には、一定の要件の下に、遺産である宅地等のうち限度面積までの部分(以下、小規模宅地等)について、相続税の課税価格に算入すべき価格の計算上、一定の割合を減額する制度をいいます。

要件を満たすことが大前提ではありますが、これまで240㎡を上限に80%減額されていたものが、330㎡にまで拡大されました。30坪ほどですので、家1軒分といったところでしょうか。とても大きな「アメ」になりますね。

※特例が適用される要件についても緩和がなされています。詳しくは、上記「あらまし」でご確認ください。


「相続税が払えなくて実家を売らなきゃ…」となる前に対策を!

相続税については、基本的に現金一括で支払わなくてはなりません。相続財産のほとんどが不動産である場合には、納税資金が十分ではないケースが生じます。そんな時に、「自宅を売って納税資金を確保しないと…」なんてことにはならないように、しっかりと対策をしましょう!「脱税」は絶対に行けませんが、相続税のしくみをしっかりと理解し、お元気なうちから後継者(子や孫)に財産を移転させることで、ご家族の税負担を減少させてあげることが可能です。

このようなご相談も、ファイナンシャルプランナーでもある行政書士法人エベレストへ、お気軽にご相談ください。税理士法人エベレストの所属税理士同席のもと、ご対応させて頂きます。

 

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