外国人(外国籍の方)が日本で様々な権利が受けられるか否かを考えるときに、まずは以下の通り分類する必要があります。一口に「外国人」と言っても、様々であるため、しっかりと分けなくては議論が成り立たないこととなります。
(1)帰化した外国人(=日本国籍者)
→外国籍の人が日本国籍を得ることを「帰化(きか)」と言い、申請に基づき、法務大臣が許可をします(官報で公告されます)。帰化した方は「日本国籍」を取得致しますので、一般的には「外国人」ではありません(入管法の定義では、外国人=「日本国籍を有しない者」と定義しているため)。
(2)特別永住者(在日韓国人・在日朝鮮人)
→いわゆる「特別永住者」と言われる方々で、日本の歴史上、特別な地位が与えられています。日本国籍はもっていないため「(日本の)戸籍」を持たない「外国人」ではありますが、その社会的・法的地位は「日本人」とほとんど変わりません。「特別永住者カード」を所持されています。
(3)中長期在留者
→日本における活動に応じて与えられる様々な在留資格(例:「技術・人文知識・国際業務」「留学」「日本人の配偶者等」「定住者」「永住者」「特定技能1号」等)に基づき、3か月以上日本に在留する方々です。具体的には次の①~⑥のいずれにもあてはまらない人です。
① 「3月」以下の在留期間が決定された人
② 「短期滞在」の在留資格が決定された人
③ 「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人
④ ①から③の外国人に準じるものとして法務省令で定める人 (注1)
⑤ 特別永住者
⑥ 在留資格を有しない人
日本では多くの外国籍の方々が製造業や建設業など人手不足が深刻な業界において、多数の方々が支えていらっしゃいます。この方々はパスポートとは別に、運転免許証のサイズの「在留カード」というものを所持されています。
(4)短期滞在者(90日以内)
→親族訪問や観光を理由として、90日以内の短期間で日本に滞在している方々です。このような方々は、「住民票」を作ることが出来ず、「在留カード」も交付されない方々です。適法に日本で滞在はしていますが、原則として期限の延長も出来ず、「一時的な」滞在者となります。
(5)不法滞在者
→適法な在留資格や査証(ビザ)を得ずに、不法に日本へ在留している外国人の方々です。
日本に在留する「外国人(※日本国籍を有しない方)」は、令和元年6月末時点で「282万9,416人」いらっしゃいます。比較する時期は少し異なりますが、大阪市の令和2年4月1日現在の推計人口は「274万6983人」ですので、かなり多数の外国籍の方が日本にいらっしゃっることがわかると思います。
本題になりますが、それぞれの持続化給付金等の支給対象者になるかが問題となります。実際に、菅官房長官が行った「持続化給付金」発表時の記者会見においても「在日外国人について支給対象とするかについては検討中」との回答があり、「(外国人には)当然に支給されるものではない」との政府認識が伺えます。今後、それぞれの公募要領で明らかにされると思われます。本ブログ執筆現在で不確定な部分もございますが、2009年に支給された「定額給付金」の際の取り扱いを参考にしています。
雇用調整助成金 (※外国籍労働者) |
休業要請等協力金 | 一律10万円給付 | ||
対象制度の趣旨 |
休業手当の一部 (支給を受けるには事業主) |
急激に売上減少した事業者に対する日本政府の経済支援策 |
東京都、愛知県等が休業要請に応じた事業主へ支払う「協力金」 | 2020年4月17日に発表された「国民」に対する一律給付(生活支援) |
(1)帰化した(元)外国人 (日本国籍取者) |
対象 | 対象 | 対象 | 対象 |
(2)特別永住者 (在日韓国人・朝鮮人) |
対象 | 対象 | 対象 | 対象 |
(3)中長期在留者 | (不法就労でない限り)対象 |
事業活動を行うことが適法な場合のみ、対象 (「経営・管理ビザ」等) |
同左 |
同左 |
(4)短期滞在者 (90日以内) |
✖ (そもそも就労活動が出来ない) |
対象外 (商用目的) |
✖ | ✖ |
(5)不法滞在者 | ✖ | ✖ | ✖ | ✖ |
「2009年の定額給付金の取り扱いを参考にする」としているため、「短期滞在者」と「不法滞在者」の2者については除外される一方、その他の適法に在留や活動(事業活動、就労活動)をしている外国人の方々については、日本人と同様に「対象」となるでしょう。
少なからず反対意見もあるようですが、「持続化給付金」等の財源は「税金」であり、たとえ外国籍であっても公平に納税負担をしていることから、税の使途に係る公平性の原則からしても、外国籍ということだけをもって支援体操から排除することは現実的ではないでしょう。
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