【持続化給付金⑧】不正受給(故意)するとどうなる?持続化給付金の返還義務と事業者名等の公表、刑事罰について

持続化給付金に係る「不正受給」とは?

何が「不正受給」とされるのか

「持続化給付金」の申請が令和2年5月1日からスタートしました。同時に公開された「給付規程(右データ)」を確認すると、「不正受給」とされた場合の対応が明記されています。それでは、何が「不正受給」とされるのでしょうか?これは、持続化給付金の申請時にチェックした「誓約事項」の5つ目に明記されています。

 

持続化給付金給付規程(中小法人等向け)【令和2年5月1日版】

持続化給付金給付規程(中小法人等向け)【令和2年5月1日版】
持続化給付金給付規程(中小法人等向け)【令和2年5月1日版】
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給付対象者が「持続化給付金」の申請時に宣誓している宣誓事項

持続化給付金の宣誓事項は、以下の通り「7項目」あります。

 

第7条次の各号のいずれにも宣誓した者でなければ、給付金を給付しない

 

一 第4条の要件を満たしていること

※(給付対象者)第4条

給付金の給付の申請を行う(以下「申請者」とう。)中小法人の場合には次の各号のいずれにも該当しなければならないただし、給付金の給付は同一の申請者に対して一度に限るものとする。2020年4月1日時点において、次の又はロうちいずれか一つの要件を満たす法人であること。ただし、組合若しくはその連合会又は一般社団法人については、その直接又は間接の構成員たる事業者の分の2以上が個人又は次のいずれかを満たす法人であること。資本金の額は出資の総額110億円未満であること資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、常時使用する従業員2の数が2,000人以下であること2019以前から事業により事業収入(確定申告書(法人税法(昭和40年法律第34号)第2条第1項31号に規定する確定申告書を指す。以下同じ。別表1における「売上金額」欄に記載されるものと同様の考え方によるものとする。(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思があること2020以降新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、前年同月比で事業収入が50以上減少した月(以下「対象月」という。)が存在すること。対象月は、2020月から申請を行う日の属する月の前月までの間で、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月のうち、ひと月を申請者が任意に選択するなお、対象月の事業収入については、新型コロナウイルス感染症対策として、地方公共団体から休業要請に伴い支給され協力金等の現金給付を除いて算出することができる

 

二 条第3項基本情報及び第4項証拠書類(以下「基本情報等」という。)に虚偽のないこと

 

三 次条給付要件に該当しないこと

 

四 事務局及び中小企業庁長官(以下「長官」という。)の委任した者が行う関係書類の提出指導、事情聴取及び立入検査等の調査に応じること

 

五 不正受給(偽りその他不正の行為(詐欺、脅迫、贈賄その他の刑法(明治40年法律第45号)各本条に規定するものをいう。)に触れる行為のほか、刑法上犯罪を構成するに至らない場合であっても、故意基本情報等に虚偽の記入を行い又は偽りの証明を行うことより、本来受けることができない給付金を受け、又は受けようとすることをいう。ただし、基本情報等に事実に反する内容の記入があった場合であっても、これが故意によらないものと認められるときは不正受給には該当しないものとする以下同じ。)が発覚した場合には、第10条の規定に従い給付金返還等を行うこと

 

六 別紙で定める暴力団排除に関する誓約事項

 

七 規程に従うこと

 

上記の「青地部分」のとおり、「不正受給」とは、刑法に抵触する場合に限られず、その他の「故意の」不正な行為(虚偽記入や虚偽の証明)となります。単純な「ミス」(過失)であれば「不正受給」とはなりませんが、第10条の規定に従い、返還義務が生じるのは、不正受給「等」と規定されているため、仮に「不正受給」であるとの認定がされなくても、持続化給付金を返還せよと言われる可能性は残ります。

 

具体的に持続化給付金の「不正受給」とされるであろう2つのパターン

持続化給付金の要件を満たすか否かは、『2019年の売り上げと2020年の売り上げを同月で比較する』ことから、以下の2つのパターンのいずれか(又はその両方)に分類できます。

 

不正受給パターン①2019年の確定申告書類等の証拠書類の改ざん

持続化給付金の申請手続きにおいては、税務署の受付印がある2019年(※特例適用の場合は2018年度と比べる場合もあります)の確定申告書等を証拠として提出しますが、これらの書類を改ざんし、実際の2019年の売上よりも「高く」することです。単純に1月だけ高くすると、売上総額が事実と変わってきてしまうため、計上月をズラして、特定の月を高くする手口が多いのではないかと想定されます。例えば、2019年の売り上げが「1月260万円」「2月170万円」「3月520万円」だった場合に、「2月」の売上の一部を「3月」に計上して、3月での比較で50%未満を満たすように調整する不正の手口です。もっとも、売上計上時期については、国税庁の通達(参考:第3款 役務の提供に係る収益)がありますが、具体的判断は難しい場合があります。そもそもが間違っており、正しいように修正申告を済ませたようなケースでは、たとえ事の発端が持続化給付金の受給検討のためであったとしても、本来の間違いを是正する行為であり、修正申告をすること自体は不正であるとは認められないでしょう。なお、気を跨ぐ場合は、税金の還付や追加支払いが必要になる場合もあります。この点、顧問税理士とよく相談する必要があるでしょう(※顧問税理士がいないという方は、この機会に税理士との顧問契約締結を推奨します)。

 

不正受給パターン②2020年の対象月の売上に関する「過少申告」等

持続化給付金の不正受給の事例としては、上記①のパターンよりも、この②のパターンの方が多くなると想定されますが、2020年の対象月の売上を一部秘匿したり、計上する月を不正に操作するなどして、前年同月比50%減を満たすようにする不正受給パターンです。例えば、上記の事例で、3月の売り上げを260万円以下にするべく、本来は3月に計上すべき売上を、恣意的に2月に前倒し計上したり、4月に繰り越したりする事例です。

 

もっとも、2020年4月に緊急事態宣言が発令されてからは、不要不急な外出を控えるように案内されていましたので、その案内に従い「自粛の結果」として売り上げが下がったことについては、当然の結果であり、不正でもなんでもありません。持続化給付金の給付となる趣旨にも沿っているでしょう。

 

持続化給付金の不正受給等に対する中小企業庁の対応は?

持続化給付金給付規程(給付金に係る不正受給等への対応)第10条

申請者の申請が給付要件を満たさないこと又は給付要件に該当することが疑われる場合は、長官は、事務局を通じ、次の各号の対応を行う

 

一 提出された基本情報等について審査を行い不審な点がみられる場合等に調査を開始する。申請者等係者に対する、関係書類の提出指導、事情聴取、立入検査等の調査については、事務局及び長官が委任した者において行うことを原則とし、これらの調査を行った後、当該関係者に対する対処を決定する。お、既に給付した給付金について調査を行う場合も同様とする。

 

二 事務局は、調査の結果申請者の申請が給付要件を満たさないこと又は不給付要件に該当することが判明した場合には、その旨を長官に報告する。長官は、当該申請者との間の贈与契約を解除し、事務局は、長官の指示に従い、当該申請者に対し、給付金に係る長官との間の贈与契約を解除し、給付金の返還に係通知を行う。

 

2 給付金の不正受給に該当することが疑われる場合、長官は、事務局を通じ、前項の対応に加え、次の各号の対応を行う。

 

一 不正受給を行った申請者は、前項第号の給付金の全額に、不正受給の日の翌日から返還の日まで、年3%の割合で算定した延滞金を加え、これらの合計額にその2割に相当する額を加えた額を支払う義務をい、事務局は当該申請者に対し、これらの金員を請求する旨の通知を行う

 

二 不正受給が発覚した場合には、事務局は原則として申請者の法人名等の公表を行う。

 

三 事務局は、不正の内容によ、不正に給付金を受給した申請者を告発する。

 

3 事務局は、申請者から返還を受けた給付金を申請者に代わって遅滞なく長官に返還する

 

4 給付金は、事務局の審査を経て長官が給付決定する贈与契約であり、原則として民法(明治29年法律第89号)が適用され、贈与契約の解除給付決定の取消しについては、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)上の不服申立ての対象とならないが、不正受給による不給付決定又は贈与契約の解除に対し、申請者等から不服の申出があった場合は、適宜再調査を行うなど、必要な対応を図る。

 

不正受給等への措置①持続化給付金の返還義務(2割増し+延滞金3%)

持続化給付金の不正受給等に対する措置の1つ目は、「持続化給付金の返還」です。単なる返還措置であれば、事業者に懲罰的な意図は生じないため、「2割を加えた額」とされ、かつ「不正受給の翌日から起算して年3%の延滞金」が発生します。例えば200万円の全額が、受給した日の翌日から仮に1年後に不正受給として返還する場合は、「200万円×1.03=206万円」となり、この206万円×1.2=247万2000円の返金が必要となります。

 

不正受給等への措置②不正を行った事業者の法人名等の公表

持続化給付金の不正受給等に対する措置の2つ目は、「法人名等の公表」です。インターネット上で公開されるわけですから、「会社名で検索したら不正受給の記事が付きまとう」こととなり、取引先との取引中止や誹謗中傷など、重大な社会的なダメージを負うこととなります。これは「原則」とされていますので、免れることは難しいでしょう。

 

不正受給等への措置③(刑法等に抵触する場合は)刑事告発

持続化給付金の不正受給等に対する措置の3つ目は、「刑事告発」です。「告発」であり、刑事事件として起訴するか否かは検察当局の判断になりますが、起訴された場合の有罪率は日本は高いため、悪質なケースでは刑事罰まで追うと捉えて頂いた方が良いでしょう。

 

これって不正受給等になる?ならない?現状では判断がつかない場合

持続化給付金の不正受給等になるかならないかがわからない事例として、以下の2つケースがあります。今後、当局から何か発表があるかもしれません。

 

ケース①持続化給付金受給後、短い期間での「自主廃業」してしまう事例

持続化給付金の給付要件の一つとして、『2019年以前から事業により事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思があること。』と定められています。持続化給付金を受給したのち、真摯に営業努力を続けたものの、どうしても資金繰りが厳しくなり、自主的に廃業する道を選んだ場合、その期間が1か月に満たない場合など、「当初から事業を継続する意思があったのか」疑義が生じる場合があります。現時点では直ちに不正受給等には該当しないと思いますが、「計画倒産」という言葉もありますし、今後の違反事例などで明確にされるとよい部分だなと思います。

 

ケース②売上減少の原因が「新型コロナウイルス等の影響」ではない事例

持続化給付金の給付要件の一つとして、2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(以下「対象月」という。)が存在すること。』と定められています。「等」とあるため、必ずしも新型コロナウイルス感染症拡大の影響が「直接的である必要はない」と考えられますが、制度趣旨から考えると、なんらかの関連性は必要だという解釈も可能です。この点、売上減少の原因に関する立証書類やその申述は申請時に必要とされていないため、持続化給付金の申請手続きにおいて形骸化している部分です。この点も、今後の違反事例などで明確にされるとよい部分だなと思います。

 

まとめ:持続化給付金の不正受給は、絶対にやってはダメ!

「持続化給付金」に対する「軽い気持ち」が重大な責任を生む

持続化給付金は個人最大100万円・法人最大200万円と、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける多くの事業者にとっては、大変魅力的な制度であり、大変ありがたいものであることは間違いないでしょう。但し、上記で説明した「ペナルティがあるから」というわけではありませんが、やはりお天道様は見ています。「不正受給」は絶対に行ってはいけません。

 

!!ご注意ください!!

行政書士法人エベレストでは、当該「持続化給付金」「10万円給付(特別定額給付金)」「新型コロナウイルス感染症特別貸付(日本政策金融公庫)」「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の特例措置)」に関する様々なご相談や申請代行、支援先のご紹介等は一切行っておりません。そのため、当法人にお問い合わせ頂きましても、何もお応えすることが出来ず、お互いに無駄な時間が発生してしまいます。「電話すれば何か教えてもらえるかも」と思ってくださる方の期待に添えずに大変恐縮ではございますが、ご理解頂きますよう、よろしくお願いいたします。

 

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