セーフティネット保証制度とは、正確には、「経営安定関連保証」と言い、「中小企業信用保険法第2条第5項」に根拠がある支援制度で、経営の安定に支障が生じている中小企業者を、一般保証 (最大2.8億円)とは別枠の保証の対象とする資金繰り支 援制度です。いくつかの類型がありますが、「新型コロナウィルス」関連は以下の2つの適用が検討できます。 ※中小企業庁該当ページはこちら
新型コロナウイルス感染症の感染が広がっており、行政庁からの支援策は日々更新されています。できる限り新しい情報になるように心がけてはいるものの、既存のお客様のご対応等で毎日の更新は現実的ではない状況です。そのため、本ブログ記事はあくまで執筆時点(記事公開時点)の正確性のみ担保しており、記事公開日以降の要件緩和等の情報については、記載が追い付いていない場合があり得ることにご理解いただき、必ず中小企業庁や経済産業省のHPにて最新情報をご確認頂くようによろしくお願いいたします。
セーフティネット保証4号とは、突発的災害(自然災害等)の発生に起因して売上高等が減少している中小企業者を支援するための措置です。幅広い業種で影響が生じている地域(※2020年3月2日に、対象地域が「全国」と指定)について、一般枠とは別 枠(最大2.8億円)で借入債務の100%を保証する制度となっています。
次のいずれにも該当する中小企業者が措置の対象となります。
①申請者が、下記の指定を受けた地域において1年間以上継続して事業を行っていること。
②下記の指定を受けた災害等の発生に起因して、その事業に係る当該災害等の影響を受けた後、原則として最近1か月間の売上高又は販売数量(建設業にあっては、完成工事高又は受注残高。以下「売上高等」という。)が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること。
<現在(※2020年3月6日現在)の指定案件>
・令和元年8月の前線に伴う大雨による災害(PDF形式:76KB)(令和2年3月3日更新)
・令和二年新型コロナウイルス感染症(PDF形式:62KB)(令和2年3月2日)
・令和元年台風第19号に伴う災害 (PDF形式:81KB)(令和2年2月12日更新)
・平成30年7月豪雨による災害(PDF形式:44KB)(令和2年1月10日更新)
・令和元年台風第15号による災害(PDF形式:56KB)(令和元年12月26日更新)
・平成28年熊本地震(PDF形式:45KB)(令和元年12月13日更新)
※名古屋市内の事業者の場合は、こちら↓
http://www.city.nagoya.jp/shiminkeizai/page/0000099394.html
セーフティネット保証5号とは、(全国的に)業況の悪化している業種に属する中小企業者を支援するための措置です。特に重大な影響が生じている業種について、一般枠とは別枠 (最大2.8億円、4号と同枠)で借入債務の80%を保証する制度となっています。以下のいずれかの要件を満たすことについて、市区町村長の認定を受けた中小企業者が対象です。
(イ)指定業種に属する事業を行っており、最近3か月間の売上高等が前年同期比5%以上減少の中小企業者
(ロ)指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上、上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない中小企業者
なお、「指定期間」があるため、期限に注意が必要です。あくまで臨時的な措置です。
※名古屋市内の事業者の場合は、こちら↓
http://www.city.nagoya.jp/shiminkeizai/page/0000099395.html
セーフティネット保証4号とセーフティネット保証5号のどちらを活用すべきかについてですが、今回の新型コロナウィルスに関していえば、対象地域が全国であり、業種に限定がなく、100%保証となる「4号」をまず検討し、もし適用が出来ない場合は5号を検討するという流れでご検討いただくのが通常です。
なお、もう「借入枠がない」と金融機関に一度断られてしまった企業様についても、このセーフティネット保証については、通常の保証枠とは「別枠」となります。そのため、事態の収束後に回復の見込みがあるなどであれば、十分に検討が可能な制度です。もともと新型コロナの影響がなくても業績が厳しい企業は大変厳しい結果になることもありますが、あきらめずに、まずは「認定」がもらえるかどうかを市区町村役場の申請窓口へご相談されることを推奨します。
おおむね1%以内(危機関連保証については0.8%以内)で、各信用保証協会毎および各保証制度毎に定められています。そのため、詳しい利率については、各都道府県ごとに存在する信用保証協会又は最寄りの金融機関へご相談ください。また、各都道府県によって差はありますが、保証料の一部を地方公共団体にて負担する旨の支援策が発表されている場合もあります。
対象となる中小企業の方は、本店等(個人事業主の方は主たる事業所)所在地の市町村(または特別区)の商工担当課等の窓口に認定申請書2通を提出(その事実を証明する書面等があれば添付)し、認定を受け、希望の金融機関または所在地の信用保証協会に認定書を持参のうえ、保証付き融資を申し込むことが必要です(※信用保証協会または金融機関による審査の結果、ご希望にそえない場合があります)。
セーフティネット保証4号
→2020年3月2日(月曜日)から2020年6月 1日(月曜日)まで
セーフティネット保証5号
→2020年3月6日(金曜日)から2020年3月31日(火曜日)まで
※上記期限は、2020年3月6日時点の情報です。今後変更があるかもしれませんので、最新情報については、必ず各自の責任にてご確認くださいませ。
このセーフティネット保証制度を活用した方がよいのかどうか、というご相談を頂きます。
実際に金融審査上、どういう影響が及ぶかについては、各金融機関ごとの融資審査基準が異なるため、一概に回答することは致しかねます。正直に、取引先金融機関に聞いてみるのが良いでしょう。そのうえで、お伝えしたいのは、このセーフティネット保証4号・5号の発動は、そもそもが「非常時」です。政府からも金融機関に配慮を求めている通り、どこの会社も非常に辛いときになります。その名の通り、「セーフティネット」たる機能がある保証制度です。この制度を使わないと、「通常枠」で融資を受けたとすると、もし影響が長引いて、再度融資申請しても貸してくれない事態も想定されます。
この制度は、通常の「保証枠」とは「別枠」で利用できるため、「適用を受けることができるのでれば、積極的に活用すべき」というのが個人的な判断となります(もちろん自己資金が潤沢な場合は、あえて借金する必要はないと思いますが、このあたりもいろんな意見や考え方がありますので、各自経営者の判断に依るでしょう)。
新型コロナウイルスに関連した経済支援策については、経済産業省が以下のパンフレットを公開しています。随時更新されますので、必ず最新版をこちら(経産省特設ページ)からご確認ください。