※最終更新:2020年7月18日(土)17時40分
「特別家賃支援給付金(家賃補助制度)」とは、令和2年5月8日に自民党(与党)賃料支援プロジェクトチームが政府に対して提言した新型コロナウイルス感染症に関する支援策(案)です。提言の内容は、右資料をご確認ください。
【家賃支援給付金とは?】新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者に対する支援のうち、資金繰りについては「(日本政策金融公庫の)新型コロナウイルス感染症特別貸付」や「制度融資(セーフティネット保証4号等)」があり、人件費については「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の特例措置)」がありました。
その他、各地方公共団体ごとで行っている「休業要請協力金(例:東京都休業要請協力金、愛知県・市町村新型コロナウイルス感染症対策協力金)」もあったものの、「全てテナント賃料の支払いに消えてしまう」という悲痛の声が多く、日本政府における支援として「テナント賃料(家賃)の補助制度」が望まれておりました。今回、自民党からの提言は、このような声を拾うもので、事業者向けの支援策を充実される極めて大きな意義を持つ支援策となっています。「持続化給付金」と「雇用調整助成金(新型コロナ特例)」に加え、「家賃支援給付金」が加わることで、多くの事業者が事業を継続しやすくなるのではないかと期待されています(もちろん今後の感染状況が悪化を続ければ、さらに厳しくなることは否めません)。
家賃支援給付金の申請に係る申請要領が公開されています。以下のリンク先にて、最新版をダウンロードのうえ、ご確認下さい。以下にもPDFファイル(法人用)を転載しておきます。
【家賃支援給付金の対象者】
売上が大幅に落ち込むなど特に厳しい状況にある(資本金10億円未満の)中堅企業・中小企業者・小規模事業者・個人事業主のテナントに対し、「持続化給付金」に加え、無利子・無担保融資(例:日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付)の元本返済にも活用できる給付金(=家賃支援給付金)を給付するという当該制度ですが、以下の通り「支給要件(給付対象者要件)」が定められております。
中堅企業、中小企業、小規模事業者、個人事業者等であって、令和2年5月~12月において以下のいずれかに該当する者に、給付金を支給。
①いずれか1カ月の売上高が前年同月比で50%以上減少
又は
②連続する3ヶ月の売上高が前年同期比で30%以上減少
つまり、既に支給が始まっている「持続化給付金」においては認められていない②の要件が加えられているため、「家賃支援給付金」はさらに拡充された措置であると言えます。もっとも、持続化給付金が「令和2年1月~12月」を対象としている一方で、家賃支援給付金は「5月以降」が基準となっているため、この点では要件が厳しくなっています。
「家賃支援給付金」の支給対象者の「対象業種」については、「各都道府県が行う休業要請の対象事業者」などに限られず、持続化給付金の対象事業者と同様に、幅広い業種の事業者が対象となる見通しです。この点、不給付要件についても、「持続化給付金の不給付要件」と同等で、以下の通りとなります。家賃支援給付金は「再申請が出来ない」という点も、「持続化給付金」と同様です。
「家賃支援給付金」の給付率及び給付上限額については、
『家賃支援給付金の申請時の直近1か月の支払家賃(月額)に基づき算出される給付額(月額)の 6倍(=6カ月分)を一括で支給』
とされています。なお、家賃支援給付金の上限額については、以下の表の通りですが、当初は、それぞれ月50万円(個人事業主は月25万円)が給付上限額とされていましたが、複数の店舗を経営する事業者向けに支援額の拡大を決めたとのことです(令和2年5月25日情報追加)。さらに、複数店舗を有していない場合でも、「支払い賃料が高額な事業者」に該当すれば、運営する店舗等が1つであっても上限が増額されます。
給付率 | 給付上限 | |
中堅・中小企業 |
3分の2 (支払月額家賃が75万円を超過する部分は3分の1に減率) |
原則50万円/月 (最大300万円) ※場合により月100万円へ増額(最大600万円) |
個人事業主 |
3分の2 (支払月額家賃が37.5万円を超過する部分は3分の1に減率) |
原則25万円/月 (最大150万円) ※場合により月50万円へ増額(最大300万円) |
「家賃支援給付金」の申請方法については、「オンライン(電子)申請のみ」となっています。家賃支援給付金の専用ホームページについては、以下のボタンからアクセス頂けます。
なお、参考までに、「持続化給付金」の申請手続きについて、以下のブログ記事をご覧ください。
→【持続化給付金②】法人が行う「持続化給付金(最大200万円)」の申請方法(申請の流れ、証拠書類等)について【新型コロナウイルス感染症】
「家賃支援給付金」の申請に必要な書類については、「持続化給付金」の例にならい、給付対象者たる要件を証明する「売上減少を証明する書類」+「本人確認書類」については必須となります。また、必須書類としては「賃貸借契約書(※存在しない場合の代替書類有り)」になると思われます。もし未整備の場合や、不備がありそうな場合は、制度開始前に前もって準備しておいても良いかもしれません。また不動産の賃貸借契約書とあわせ、「直近3カ月分の家賃支払いの振り込みがわかる資料(振込明細書の控えや通帳の写し等)」が必要になることが判明しました(6月21日追記)。その他、家賃支援給付金に係る必要な資料については、以下のリンク先にてご確認下さい。
【関連ブログ】
→【売上台帳の雛形(テンプレート)】持続化給付金・家賃支援給付金の申請に使える売上台帳の雛形(Excelデータ・Wordデータ)の無料ダウンロード!(※期間限定)
→【家賃支援給付金】不動産賃貸借契約書(店舗用・事業用)のひな形(参考様式・作成例)について(Word版ダウンロード可能)(※期間限定)
「家賃支援給付金」の申請受付期間(期限)について、令和2年7月14日から受付開始予定とされました。なお、持続化給付金と同様混雑等により、実際に「家賃支援給付金」が振込まれるまでに相当な時間がかかると考えられるため、早くても(不備のない申請完了から)3週間~1か月は見ておいた方が良いでしょう。
・申請受付開始:2020年7月14日から
▼
・申請受付期限:2021年1月15日まで
【関連ブログ】
「家賃支援給付金(家賃補助制度)」に関する「よくあるご質問(想定質疑)」について、よくある質問について回答致します。今後、申請要領の改訂等により、変更になる可能性があるため、十分にご留意ください。
家賃支援給付金(家賃補助制度)は、「持続化給付金」の例にならい、個人事業主やフリーランスも対象になると考えられます。但し、開業届出が出されていなかったり、確定申告を行っていない方(※そもそも申告義務があるのに申告していない場合は、いわゆる「所得隠し」であり、「所得税違反」の疑いもあります。)については、「事業主」であるとの証明が出来ず、実質的に対象とならないと考えられます。
家賃支援給付金(家賃補助制度)は、土地や家屋、商業ビルの所有者が賃貸人ではないケース(不動産管理会社等が一括借り上げを行い、賃貸人が転貸人として転貸借契約を事業者と締結している場合)、つまり契約内容が「転貸」契約である場合にも、自らの事業のために占有している物件に関する賃貸借契約である限りは、給付対象となります。
一方で、転貸借契約における、転貸人(原契約の賃借人)が家賃支援給付金を申請できるか否かについては、「転貸していない部分」については、申請が可能とされました。
家賃支援給付金(家賃補助制度)の申請において、管轄が(総務省ではなく)経済産業省にであるため、持続化給付金と同様に、「電子(オンライン)申請」による場合であっても、「マイナンバー(通知)カード」は不要になると考えられます。
家賃支援給付金(家賃補助制度)の対象事業については、不給付要件に該当する場合を除き、原則として「限定されない」ため、休業要請の対象とはならなかった「事務所(オフィス)」でも給付が受けられます。
家賃支援給付金(家賃補助制度)については、「テナント事業者」に対する支援であることから、自己所有物件のため家賃等が発生していない事業者については対象外となります。つまり住宅ローンなどは対象外というわけですね。
家賃支援給付金(家賃補助制度)については、融資制度の積極的な活用が基本とされているようですが、給付のみでも申請が可能とされています。ただ、家賃支援給付金が実際に振り込まれるまでに1か月以上かかることを想定し、一般的な資金繰り対策として、「日本政策金融公庫の新型コロナ特別貸付」も活用しつつ、余裕を持った資金繰り対策をすることを推奨します。
家賃支援給付金(家賃補助制度)に関するお問い合わせ先については、以下の通りです。なお、「家賃支援給付金コールセンターがなかなか繋がらない」として、当法人にお問合せ頂いても回答は致しかねますので、予めご留意ください。なお、家賃支援給付金の申請についても持続化給付金申請と同様に、「申請サポート会場」が用意されています。自分でオンライン申請が難しいという方は予約してみると良いでしょう。以下のブログも参考にどうぞ。
→家賃支援給付金は郵送申請や窓口申請が可能?申請サポート会場について