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秘密証書遺言について

「普通方式」の一つなのに、とってもマイナーな秘密証書遺言

 さて、自筆証書遺言と公正証書遺言のそれぞれのデメリット、メリットを比較し、それぞれの特徴をご理解いただけたのではないでしょうか。しかし、遺言の「普通方式」には、もう一つ、『秘密証書遺言(民法第970条)』という方式がございます。公証役場での作成件数は、年間100件程度と、とてもマイナーな方法ですが、念のため、このページでご紹介したいと思います。なお、私(行政書士野村篤司)は、これまで400件程度(2015年7月1日現在)の相続相談を行ってきましたが、秘密証書遺言が残されていたという相談は、過去1件だけであり、公認会計士の先生のアドバイスで作成されたようでした。それくらいレアな方法になります。

 

秘密証書遺言の特色

秘密証書遺言の特徴は、公証人や証人の前に封印した遺言書を提出して、遺言の存在を明らかにしながら、内容を秘密にしておくことができるという点にあります。自筆証書遺言では存在が明らかにされないこともあり、発見されないケースも生じますが、秘密証書遺言ではこのようなリスクを防ぐことができます。また、公正証書遺言では、少なくとも証人2人と公証人1人には内容が一字一句明らかになってしまいます(もちろん法律で守秘義務がありますので漏らすようなことは絶対にありません)が、遺言内容を完全に自分しか知らないという状態にすることができます。

 

また、下記の方式にも記載いたしますが、「全文を自署ではなく、パソコンで作成してもよい」というのが最大の特徴ではないでしょうか。書く文量が多い方には魅力的に感じることでしょう。

 

秘密証書遺言の方式(民法第970条)

秘密証書遺言は、以下の方式に従って作成されます。

 

①遺言者が遺言書に署名・押印する。

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②遺言者がそれを封じ、遺言書に用いたのと同じ印象で封印する。

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③遺言者が公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出し、自己の遺言書であること、自らの氏名・住所を申述する。

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④公証人が、その遺言書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載したのち、遺言者及び証人とともにこれに署名押印する。

 

以上です。公正証書遺言では、事前に公証役場との打ち合わせ(内容確認)が必須ですが、この方式では内容は秘密にしているわけですので、午前中に公証役場に行けば、即日作成できることもあるようです(嫌がられるかもしれませんが…)。もちろん、遺言書の内容は専門家のアドバイスも得ながらじっくりと内容を決めるようにしましょう。

 

秘密証書遺言が自筆証書遺言として認められる場合もある!

秘密証書遺言においては、自筆証書遺言の方式と異なり、全文・日付・氏名を自書する必要はありません。しかし、万が一、秘密証書遺言の方式誤り(例えば、遺言書に用いた印鑑とは違う印鑑で封印した場合など)があった場合に、封筒の中にある遺言書本体が、自筆証書遺言の要式を満たすものであれば、「自筆証書遺言として有効となる」とされています(民法第971条)。

従いまして、もし秘密証書遺言を残されるとするならば、できるだけパソコンを使って作成するのではなく、自筆証書遺言を作成するつもりで作成された方が、形式的に無効になるリスクを低減できると言えるでしょう。

 

秘密証書遺言作成のご相談も、行政書士法人エベレスト!

秘密証書遺言はマイナーな方式ではありますが、自筆証書遺言や公正証書遺言にはないメリットもございます。作成をご希望の場合には、証人への就任や封印前の記載内容の確認(秘密厳守)を行いますので、お気軽に行政書士法人エベレストにご相談ください!