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「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の違い

最終更新日:2024年4月8日(月)
文責:行政書士 野村 篤司

 さて、ここまでで、遺言書の基本的な内容、そしていくつか種類があることがおわかりいただけたのではないかなと思います。さらに踏み込んで、自筆証書遺言と公正証書遺言のそれぞれのデメリット、メリットを比較してみたいと思います。なお、「秘密証書遺言」という形式もございますが、実務上あまり登場しないことから、比較検討致しませんが、別途ご要望があり次第、秘密証書遺言についても比較表を作成してみたいと思います。

 

《表1:自筆証書遺言と公正証書遺言の比較表》

遺言の種類 デメリット(短所) メリット(長所)

自筆証書遺言

 

遺言の書き方を少しでも間違えると無効になるなど、とても注意が必要である(無効になりやすい)。

 

②自分自身で遺言を保管しなければならないため、紛失してしまう恐れや発見されない恐れ、さらには捨てられてしまう恐れがある。

 

③自筆(自署)で作るとはいえ、誰が遺言の内容を変更したかわからないように改ざんされてしまう恐れがある。

 

④亡くなった後に、その遺言を家庭裁判所に持っていかなければならないため、手続きまでに時間がかかる。⇒検認(けんにん)と言います。

※2020年7月10日(金)施行の「遺言書保管法」により、遺言書保管所に保管されている遺言書について検認が不要となります。

 

⑤自分で書くことが要件なので、「書くこと」ができないとそもそもこの方式では遺言が作成できない。

 

※2019年1月13日施行の法改正により、「財産目録」については手書きの必要が無くなりましたので方式についてやや緩和されました。

 

①自分だけで遺言を作成できるため、基本的に費用はかからない(紙とペンと朱肉があれば足りる)。

 

②自分の好きな時に、好きなタイミングで遺言を書くことができる。

 

③誰からも関与を受けずに遺言を作ることができるので、隠しておけば秘密を保つことができる。

公正証書遺言

①公証人手数料が発生するため、少なからず遺言の作成費用がかかる。

 

②作成する際には、公証人のほか、証人2名の立ち合いが必要になるため、遺言の内容について秘密にはならない。

 

自筆証書遺言と違い、公証人や証人の協力が必要なため、思い立ったらすぐに作成、いつでもどこでも遺言が作成できるというわけではない。

 

①法律のプロ中のプロである「公証人」の関与があるため、形式面でのミスによる遺言の無効はまずありえない。

 

②公証役場が遺言の原本を保管するため、紛失や改ざんのおそれが極めて少ない。

 

遺言に書きたい内容を公証人に伝えれば良いだけなので、字が書けなくても作成できる。

 

④亡くなった後に、遺言を家庭裁判所へ持っていく必要がなく、すぐに手続きをすることができる。

遺言作成に強い専門家であれば、「公正証書遺言」を推奨します。

トラブルが相対的に少ない「公正証書遺言」

いかがでしょうか?専門家の立場からしなくとも、やはり公正証書遺言の方式によるべきということがわかるのではないでしょうか。

 

私はこれまで「無効な自筆証書遺言書」を何通も見てきました。せっかく「言いたいこと」がわかったとしても、法律的に意味のないものになってしまうのは、残されたご家族はとても悔やまれます。自筆証書遺言と比べて、公正証書遺言は作成時に費用がかかってしまいますが、後のことを考えると、結果的に費用が節約できる場合がとても多いのです。「遺言を書きたい」と思ったら、まずは「公正証書遺言」で作成の検討をすることを強く推奨しております。時間と費用がかかったとしても、公正証書遺言を書くようにしましょう。


さて、ここまでで形式に関する説明はおしまいですが、次は、遺言の中身についてみていきたいと思います。

 

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