初回記事投稿日:2026年7月8日(水)
最新記事更新日:2026年7月8日(水)
執筆(文責):行政書士・中小企業診断士 野村 篤司
1.「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」とは?
1-1.目的
中小企業等が行う、技術的革新性のある製品・サービスの開発や既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出、
海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制の強化を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とします。従来の「(通称)ものづくり補助金」とほとんど変わらないと捉えて頂いて構いません。
1-2.スケジュール(第1回公募)
公募は6月29日(月)に開始しましたが、応募申請は8月31日(月)~となっております。受付期間が1か月しかないため、7月末までには計画概要を固めていく必要がございます。なお、採択発表されたのち2か月以内に「交付申請」をしなくてはならず、「交付決定日以降」に機械装置等を発注しなくてはならない点もご留意ください。この点は、これまでの
補助金制度と同様で、コロナ禍の際の事業再構築補助金のような事前発注等の例外措置はございません。
2.補助対象事業について
2-1.革新的新製品・サービス枠
革新的な新製品・新サービス開発の取組を支援します。本補助対象事業枠は、革新的な新製品・新サービス開発の取組が補助対象であり、既存の製品・サービスの生産等のプロセスについて改善・向上を図る事業は補助対象外です。革新的な新製品・新サービス開発とは、顧客等に新たな価値を提供することを目的に、自社の技術力等を活かして新製品・新サービスを開発することを指します。単に機械装置・システム等を導入するにとどまり、新製品・新サービスの開発を伴わないものは補助対象事業に該当しません。また、業種ごとに同業の中小企業者等(地域性の高いものについては同一地域における同業他社)において既に相当程度普及している新製品・新サービスの開発も該当しません。
2-2.新事業進出枠
既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援します。本補助金対象事業枠は事業で新たに製造又は提供(以下「製造等」という。)する製品、商品もしくはサービス(以下「製品等」という。)が、事業を行う中小企業等にとって、新規性を有するもの、かつ、事業で新たに製造等する製品等の属する市場が、事業を行う中小企業等にとって、新たな市場であるものが補助対象です。過去に製造等していた製品等を再製造等することは、新たな製品等を製造等しているとは言えず、補助対象外です。ここでの新規性とは、補助事業に取り組む中小企業等にとっての新規性であり、世の中における新規性(日本初・世界初)ではありません。なお、本補助金の申請予定公募回の公募開始日以降に初めて取り組んでいる事業について、「新規性」を有するものとみなします。新たな市場とは、事業を行う中小企業等にとって、既存事業において対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする市場を指します。
2-3.グローバル枠
海外市場開拓(輸出)に向けた、国内の輸出体制強化の取組を支援します。本補助対象事業枠は事業を行う中小企業等が、自社の製品等を活用し、自発的に新たな海外販路を開拓するうえで必要となる国内製造等拠点の強化に取り組むもの、かつ、事業により製造等する製品等の属する市場が、事業を行う中小企業等にとって、新たな海外市場であるものが補助対象であり、取引先主導の事業は自発的な取組とは言えず補助対象外です。新たな海外市場とは、事業を行う中小企業等にとって、既存事業において対象となっていなかった国・地域の市場を指します。ここでの地域とは、統計上、国に準じてカウントされる領域であり、行政区画ではありません。
3.補助対象事業の基本要件について
中小企業等が、以下の要件を満たす3~5年の事業計画に取り組むことが必要です。
3-1.付加価値額要件
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額の年平均成長率が4.0%(以下「付加価値額基準値」という。)以上増加する見込みの事業計画を策定することが必要です。申請者自身で付加価値額基準値以上の目標値(以下「付加価値額目標値」という。)を 設定し、事業計画期間最終年度において当該付加価値額目標値を達成することが必要で す。付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。比較基準となる付加価値額は、補助事業実施期間の終了時点が含まれる(申請者における)事業年度の付加価値額とします。
3-2.賃上げ要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%(以下「一人当たり給与支給総額基準値」という。)以上増加させることが必要です。申請者自身で、一人当たり給与支給総額基準値以上の目標値(以下「一人当たり給与支給総額目標値」という。)を設定し、交付申請時までに全ての従業員又は従業員代表者(以下「従業員等」という。)に対して表明することが必要です。基準値より高い目標値を設定した場合、その高さの度合い及び実現可能性に応じて審査で評価されます。詳細は「公募要領」の「3-1.書面審査」をご確認ください。そのうえで、補助事業実施期間の終了時点が含まれる事業年度の一人当たり給与支給総額を基準として、事業計画期間最終年度において当該一人当たり給与支給総額目標値を達成することが必要です。要件の達成状況の確認のため、事業化状況報告時に、決算書・賃金台帳等の提出を求められます。当該要件は、目標未達の場合には、補助金返還義務が生じますので、注意が必要です。
3-3.事業場内最賃水準要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業場内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であることが必要です。補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業場内最低賃金(本補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円(以下「事業場内最低賃金基準値」という。)以上高い水準であることが必要です。なお、事業計画上、補助事業を実施する事業場が複数ある場合、その中で最も事業場内最低賃金が低くなる事業場のものをいいます。要件の達成状況の確認のため、事業化状況報告時に、賃金台帳等の提出を求められます。当該要件についても、目標未達の場合には、補助金返還義務が生じますので、注意が必要です。また、都道府県ごとで定める最低賃金自体がどんどん上がっている状況ですので、最低賃金自体の上昇を踏まえて計画することが必要です。
3-4.ワークライフバランス要件
次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していることが必要です。「次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)」(以下「次世代法」という。)第12条に規定する一般事業主行動計画の策定・公表を行うことが必要です。応募申請時までに、次世代法に基づき一般事業主行動計画を策定し、仕事と家庭の両立の取組を支援する情報サイト「両立支援のひろば」に策定した、申請締切日時点で有効な一般事業主行動計画を公表してください。申請してから公表されるまでに1~2週間程度の期間を要しますので、お早めに一般事業主行動計画の策定・公表に向けた準備等を行う必要がある点にご留意ください。
3-5.子育て等に関する職場環境整備に向けた取り組み要件
「子育て等に関する職場環境整備」に向けた取り組みを行うことが必要です。具体的には、以下(ア)~(ウ)から1つ選択し、取り組みを行う必要があります(※詳細は公募要領にてご確認ください)。実施する具体的な内容を応募申請時に事業計画に記載してください。(今回実施する取組が、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の内容に留まらない追加的な取組であることについて、説明いただきます。)また、実績報告時に取組が行われたかについての証憑等の提出を求められます。なお「プラチナくるみん認定」、「くるみん認定」、「トライくるみん認定」のいずれかを取得している事業者については本要件が免除されますので、可能ならこれらの認定を取得することを推奨します。
(ア) 若手従業員が活用できることを目的に「ライフデザインサービス」を活用すること
(イ) 社員の育児等を支援することを目的に各種サービス(家事代行サービス、ベビーシッターサービスに限る)を活用すること
(ウ) 子育て等に関する職場環境整備に係る各種既存制度を、従業員に対して周知・普及・啓発すること
3-6.金融機関要件
補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていることが必要です。金融機関等から資金提供を受けて補助事業を実施する場合は、資金提供元の金融機関等による事業計画の確認を受ける必要があります。必ず、「金融機関による確認書」を提出してください。金融機関等からの資金提供を受けずに自己資金のみで補助事業を実施する場合は、提出は不要です。




