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「補助金申請業務」は「行政書士法違反」なのか ~行政書士による行政書士法の徹底解説~

まずはここを理解!「行政書士法」は何を「独占業務」としているか

2020年春以降、新型コロナウイルス感染症を原因とした急激な経済状況の悪化を背景に、経済産業省を所管とする事業再構築補助金や持続化給付金等(一時支援金、月次支援金等)が多数公表され、多くの「士業」が支援に回っている現状です。当法人も行政書士(行政書士法人エベレスト)として、時には、認定経営革新等支援機関(株式会社エベレストコンサルティング)として、事業計画の策定や申請手続きの支援に従事しており、中小企業の経営者様の悲痛な思いやV字回復に向けた高い意志を表明頂くなど、日々刺激を頂いている事業者の一人です。

 

こうして、自らが多数の支援をしていると、お客様から「補助金は行政書士の独占業務なの?」と聞かれることがあり、あまりにも誤解が多いことから、行政書士の1人としてまとめてみました。一人でも多くの方に理解いただけると幸いです。誤った解釈や根拠のない見解に注意しましょう。

 

行政書士法で定める「法定業務」は「行政書士法第1条の2~4」に規定

まず、「行政書士法違反になるかどうか」を論じるうえでは、行政書士法が何を法定業務と定めているかの理解をする必要があります。以下が、行政書士法の該当箇所です。

※画像をクリックすると拡大してみることが出来ます。

 

「行政書士法第19条(業務の制限)」の対象は、「第1条の2」に限定

次に、上記の「法定業務」のうち、「何が行政書士又は行政書士法人でないと違法になるのか」、すなわち「行政書士又は行政書士法人以外は業務が禁止されているのか」を確認する必要があります。これは行政書士法第19条に定められていますので、該当条文を確認しましょう。

 

 

「例外的に禁止されていない業務」である「行政書士法第19条第1項但し書き」については、行政書士法施行規則第20条で定められています。主に自動車関係の業務ですね。

 

 

ここまでで、まず、

 

『第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。』

 

については、

 

『行政書士と行政書士法人以外は法律で禁止されている』

 

ことが理解いただけたかと思います。次の論点を見ていきましょう。

 

違法性を考えるうえで重要な論点

「他人の依頼を受け報酬を得て」行うものかどうか

行政書士の業務は、「有償性」を要件としています。つまり、「無償で」行うのであれば、行政書士法違反となりません。しかし、言わずもがなかもしれませんが、もし行政書士法違反で立件された場合、業務と報酬の関連性(実態)で判断されますので、例えば請求項目が「コンサルティング料(作成に係る業務は無償とする。)」と定めていても、違法性がないと主張するのは著しく困難でしょう。いわゆる「脱法行為」ですね。

 

また、仮に「無償」であっても、「反復継続」して「事業者が」行っていたり、「報酬」ではないものの間接的に何らかの「経済的利益」を得ているようなケースでも、「報酬を得て」と認定される場合もあるでしょうから、安易な解釈はしないように気を付けた方がよいでしょう。なんせ違法であることが確定すると「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」であり、前科が付くこととなります。非常に重いです。

 

「官公署」に提出する書類かどうか

次に、「官公署に提出するかどうか」です。「官公署」とは、「国(経済産業省、中小企業庁、資源エネルギー庁等多数)」や「地方公共団体(愛知県、東京都等)」ですね。行政書士が関与することが多いのは、他にも「警察署」「消防署」「保健所」なんかもありますし、枚挙にいとまがありませんが、当然「公権力を行使しない民間企業」は「官公署」とは言えないため、「民間企業に提出する書類」については、有償作成しても行政書士法違反となりません。なお、少し脱線しますが、他の法律で規定されている業務については、行政書士は行うことが出来ませんので、社会保険労務士、司法書士、税理士、土地家屋調査士、弁理士、海事代理士等の業務は行政書士は行うことが出来ません。

 

ここで、「公的補助金申請の提出先は委託を受けている民間企業ではないのか」という問いがあります。この点、経済産業省所管の補助金制度(※補助金適正化法の適用を受ける制度)で、最も早くに開始された「持続化給付金」について、以下のような日本経済新聞社の記事(中小企業庁の回答)等、各マスコミや国会審議等で行政書士法に違反する恐れがある旨の見解が度々あります。

 

(1)「持続化給付金 申請代行に注意」2020年7月14日日本経済新聞

(2)「コロナ給付金不正、申請補助の女2人を逮捕」2021年1月9日琉球新報

(3)「持続化給付金の申請の支援に係る留意点について」日本税理士会連合会

※2020年5月19日の衆議院財務金融委員会の質疑応答において、中小企業庁の公式回答です。

 

この「持続化給付金」は、「事業構築補助金」や「ものづくり補助金」と同じく、民間企業が委託を受けて予算が執行されています(参考:持続化給付金事業の執行体制等「~8/31申請受付分等」持続化給付金事務局について)。

 

実際に、事業再構築補助金やものづくり補助金等は、「経済産業省の予算の執行」で行われており、「事務局」は「履行補助者」に過ぎないと考えられることから、民間企業が事務を受託しているからといって、「官公署に提出するものではない」という主張は無理があるように思います。この点は、総務省の公式見解(新事業活動に関する確認の求めに対する回答の内容の公表/令和4年2月16日回答)においても明確な回答が出ており、事業再構築補助金等で提出する書類(事業計画書やその他の添付書類を含む)については、「官公署に提出する書類」と回答されています。

 

「~書類を作成する」ことかどうか

3点目は、「書類の作成かどうか」です。つまり、「書類の作成」とはならない、「書類の作成についての指導・助言」であれば、たとえそれが官公署に提出するものであり、有償で支援していたとしても、行政書士法違反にはなりません。この点、「書類の添削」はどうなのか、というとてもグレーな問題がありました。この点が、明確化されたのが、「総務省の公式見解(新事業活動に関する確認の求めに対する回答の内容の公表/令和4年2月16日回答)」です。一部抜粋します。

 

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(1)
照会書に記載された事業活動を前提とした場合、照会者が実施しようとする経営革新計画等
の申請や補助金申請に対するサービスは、サービス利用者が作成した申請書類について一般的
な改善案を提示するなど、法第1条の3第1項第4号における「相談」の範疇となる行為であ
る限りにおいては、法第1条の2第1項に規定する「他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に
提出する書類......その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含
む。)を作成」することには、当たらない。
(理由)
法は、第1条の3第1項第4号において、「前条の規定により行政書士が作成することがで
きる書類の作成について相談に応ずること」を非独占業務と定めており、ここにいう「相談」
とは、依頼者の趣旨に沿って、どのような書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入
するか等について、質問に対し答弁し、指示し、又は意見を表明する等の行為を指す。
本件において、照会者が行う行為は、「この部分についてもっと明確に記載すること」や
「この部分について論点を絞った内容を作成すること」など、一般的な改善案や経験則、補助
金の公募要領等に基づいた改善案を提示するものであるところ、当該改善案の提示は一般的に
は「相談」として評価されるものであり、当該改善案の提示が上記「相談」の範疇である限り
において、行政書士の独占業務とされている書類の作成には当たらないものと考えられる。

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上記のように、「相談」の範疇となる行為であれば添削サービスもOK(有償で行っても行政書士法違反にならない)とされています。逆に言えば、「相談の範囲を超える作成なら行政書士法違反となる」ことが明確になったとも言えます。

 

まとめ ~非行政書士が補助金申請業務に関与するうえでの注意点~

「認定経営革新等支援機関」といえども、「事業計画書の作成」は違法行為

サービス内容 行政書士又は行政書士法人

行政書士・行政書士法人

(認定経営革新等支援機関等)

有償相談・指導等 対応可  対応可
無償相談・指導等 対応可 対応可

提出書類たる事業

計画書の有償作成

対応可 対応不可

提出書類たる事業

計画書の無償作成

対応可

対応可

※別名目請求などの脱法行為に注意

無償での添削支援 対応可 対応可
有償での添削支援

対応可

(相談の範囲を超えても)

相談の範囲を超えない限り、対応可

グレーゾーン解消_総務省回答

本記事は以下の通りですが、「行政書士法違反に該当するか否か」の判断は、「経済産業省は所管外のため不可能」であることも忘れてはいけません。各省庁は、所管法令があり、経済産業省は行政書士法の所管外のため、公式見解が出ようもないです(なお、当該記事で紹介した総務省回答は、経産省のグレーゾーン解消制度が活用されており、総務省と経済産業省の連名での公式回答となっていることもあります)。

 

また、「事務局が問題ないって言ったから」と主張して、行政書士法違反を犯して事業計画書の有償作成を行う認定経営革新等支援機関もいらっしゃいますが、民間企業たる「事務局」に聞いた結果をもって違法性を免れると考える思考自体が危険ではないかと疑問です。個別行為の違法性を判断するのは、裁判所です。しかし一般的な見解として行政書士法を所管する総務省の公式見解が出た以上は、公的補助金申請において提出書類となる「事業計画書の作成」を有償で非行政書士が行うのは極めて危険な行為でしょう。なお、「税理士」や「公認会計士」は「行政書士登録」ができるため、最近は行政書士登録者数も右肩上がりとなっています。行政書士登録していない税理士等は、ぜひ行政書士登録して、堂々と支援するようにしましょう。

 

行政書士又は行政書士法人においては、「名義貸し」などをしないように注意も必要です。行政書士業務を非行政書士や行政書士が監督していない状況下で行政書士補助者が担当することはできません。スタッフに手伝ってもらうにも補助者登録は必須となります。

 

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